■エントリ概要
人は暴力よりも優しさに服従するのであろうか。
■ストーリー
ウッソたち一行はザンスカールの首都でスージィとカルルマンたちに再会する。そしてここでシャクティは母子として指導者マリアと再会している事を知らされる。かれらは再会場所のアパートの前で待つのだが「こう待っても出てこないなら上手くいってるんだよ‥‥」と諦めの表情が表れ始める。
シャクティ本人はマリアを認めずカサレリアの母が本当の母であると反発するのだが、戦場から遠ざけたいと優しく抱きしめられるとその抵抗も薄まるのだった。
一方カテジナとクロノクルはこのシャクティ・マリア再会劇を密かに動画記録しており、カガチら女系社会政策派の力を強めるための証拠として保存する。
ウッソたちの元にはシャクティが現れるより前に警察のIDチェック部隊が現れ、逃げ出し、Vガンダムへと戻る。ザンスカール本土警備隊との戦闘中にふとシャクティの移動先に気がついたウッソは隙を突いて小さな城の庭に着陸し、ついにシャクティと再会する。だが連れ戻しはしない。これは、女王マリアも寂しいのだろうからシャクティを通じて内部からザンスカールを変えられるはずだと、少々寝ぼけたような意見を持ったためだ。
ウッソは再び戦闘に戻りその後はリガ・ミリティアのアイネイアースへ。シャクティはザンスカールのお姫様としてそれぞれの陣営に留まる事になる。
シャクティは目標だった母親を見つけた。でもそれで本当に良かったのだろうか?
■コメント
優しさに抵抗する難しさ。
これは今シリーズ通してのテーマの一つだろう。この方向で発想を進めると人類全体の洗脳で強制的に絶対的平和を生み出す究極兵器エンジェル・ハィロゥに繋がるからだ。そしてこの状況に直面すると2+2=5だと言う自由を求めるような、間違っていても、愚かであっても、人間らしい自由を求める精神による抵抗の戦いが生まれることになる。
少し前から実社会で続く「正しさ偏重主義」に対する恐怖感と、エンジェル・ハィロゥを生み出したマリア主義に対する拒否感は同根のものだろう。制作当時はカルト宗教に対する疑問から生み出された感覚だと思うのだが、これも同根だろうか。
■断片
- 母である女王マリアから離れリガ・ミリティアに戻ろうとするシャクティが「戻りたいのか!あの戦場に」とクロノクルに呼び止められ目を少し潤ませながら固まるという描き方は戦争によりかなりの精神ダメージを負った人としてのものになっており、ザンスカールに留まる事へ説得力を高めている。
- 単独行動中のウッソはハロとの会話で状況認識と思考を説明してくれる機能的な関係になっている。
■連載休止のおしらせ
このシリーズはストック記事に追いつかれたためしばらくお休みします。3回分程度の記事製作後に再開を予定しています。