放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。

伝説巨神イデオン 第10話 「奇襲・バジン作戦」

伝説巨神イデオン Blu-ray BOX
伝説巨神イデオン Blu-ray BOX(2013年発売)

 ギジェの戦艦グラン・ザンが仕掛けてきた体当たりをしのいだソロシップ。亜空間からデスアウトした先はまたも未知の惑星であった。

 惑星の名はクリスタル・スター。着陸前に大気組成を分析したところ、酸素は全く含まれていない。着陸した先に広がるのは、非常に砕けやすいガラス状の木で構成されるイデオンより遙かに高い無機物の森。地球人にとって未知のこの惑星について、バッフクランのカララ・アジバは情報を幾つか持っていた。星にいる無機質の飛行体は「バジン」と呼ばれる生物だということなど‥‥

 ここでの段取りの細かさは何となく「スタートレックヴォイジャー」っぽい雰囲気です。強力な敵対勢力「ボーグ」出身の「セブン・オブ・ナイン」が先行情報を大量に持っているのに似た仕掛け。


 ソロシップを追撃していたバッフクラン戦闘隊もクリスタル・スターに到着。

 ギジェ・ザラルは脱出艇が無事回収されたのか特に説明もなく元気に再登場。グラム・ザンをつぶしてしまったので今残っているバッフクランの母艦はアバデデ様直轄のガタマン・ザン一隻のみ。


 アバデデ様は自らの責任でグラム・ザンを潰させながらも巨神イデオンの撃破には失敗していて、バッフクランサムライ社会での経歴的にもはや後がない。そこで、自ら艦載重機動メカ「ドグ・マック」を駆り、正々堂々と一人で出撃し、クリスタル・スターのバジンを利用した攻撃でイデオンの撃破を狙う。なに、簡単な仕事さ、早く片づけて家に帰ろう、故郷には家族が待っているんだ、と。


 不気味な飛行生物バジンがふわふわ飛んでいるけれど滞在するだけならそれほど危険がなさそうなクリスタル・スターを利用して、ソロシップクルーたちは整備工事と調査の作業を進める。
 ソロシップのマニュアルか何からしい文章を調べていたシェリルのところにはカララがやってくる。シェリルはその瞬間、カララを不審の目で睨みつける。このときの表情は非常に恐ろしい。カララが来るシェリルは顔が見えない→シェリルの顔が写る、このショットになった段階でもうすでに完全な不審の表情になっている。動かないけれど切れ味は鋭い。
 カララはソロシップの第六文明人言語を解読するため、翻訳補聴器のような機械をシェリルに貸し出す。カララは地球人の間の生活に慣れたのか、翻訳機械無しでも地球の言語が分かるようになったらしい。


 無機飛行体だらけでレーダーの効かないクリスタル・スター。その中でアバデデはバジンを釣り集めていた。バジンは死体から出る雲母のような粉がついているものに惹かれて攻撃を仕掛ける半自動生物らしい。

 機械より強大な森と生物、その力を利用しようとする人間、そして大破壊といったモチーフは何か大元のネタがあるのでしょうか?何となく「風の谷のナウシカ」の「腐海」ふうだなーと漠然と思いました。


 索敵機能が止まっているソロシップはアバデデのドグ・マックとそれに釣られたバジンに強襲を仕掛けられる。バジン寄せ雲母に触れてしまったソロシップと搭載のイデオン。大量のバジンがとりつき尻尾のドリルで分解攻撃を始める。
 バジンを振り払おうと艦砲やイデオンで攻撃をし、そこでまたバジン寄せ雲母をばらまいてしまう破滅スパイラルで混乱に陥るソロシップチーム。


 この混乱に乗じてアバデデはソロシップに接触通信回線を接続。バッフクラン語でカララ・アジバを呼び出す。

 アバデデは呼びかけに反応して現れたカララとソロシップ艦内で再会。ここで艦内にある土砂の山の上に立ったカララがアバデデに「バッフクランのそのような強硬な生き方は捨てたのだ」と語るシーンは、「アニメは上下動」「上手下手」といった感覚が思い切り直接的かつ効果的に利用されています。カララはアバデデとは住んでいる世界が違うほどに偉いと、何か言葉を発するより先に分かってしまいます。ソロシップは大道具としての器が大きい。

 カララ・アジバの奪還は不可能と考えたアバデデは一時後退。

 アバデデを追い払ったカララについてシェリルは「恩を売ったつもりなのでしょうね?感謝はしない」と発言し、それを聞いたカララは「そのほうがあなたらしい」と皮肉で返す。怒ったシェリルはカララの頬を平手打ちし、カララは報復としてシェリルの頬を打つ。何度も何度も頬を打つ二人。前回に引き続いて起こる感情のぶつかり合い。
 このシーンの音楽はカララが「そのほうがあなたらしい」と返してすぐにシェリルから打たれるまさにその瞬間に「弦がとぶ」を悲しげにアレンジしたもののピアノソロ長回し*1が流れ出します。地に足がついた個人スケールで起こった事件という感覚が非常に印象的。


 カララ奪還を諦めてドグ・マックに戻ったアバデデは、ソロシップにバジンをびっしりと取り付かせたので撃破も時間の問題と、仕事を片づけて早く家に帰りたい一心で後退を開始。

 それなのにイデオンは追撃を開始。体中にバジンを貼り付けたイデオンドグ・マックに接近。ドグ・マックCIWS的な反射的攻撃を仕掛けてしまい、鞭でイデオンの身体もろともバジンの誘引雲母を絡め取る。

 バジンに取り付かれ穴だらけにされる家庭人たるアバデデのドグ・マック
 「何故こんな馬鹿な死に方を…!?奴らには巨神の護りがあるというのか…!?」
 本当に馬鹿な死に方をしてしまって‥‥

 画面右を落下するドグ・マック。その斜め後ろ左を上昇していくソロシップ。対照的な姿。

 ドグ・マックは動力炉が核爆発を起こし消滅。光輝くアバデデの最期。


 運のないアバデデ・グリマデについてカララ・アジバは「忠義忠節だけの男。つまらん」と切って捨てる。アジバ家に生まれたほどの人間にしてみれば、たかがサムライ一人の生死など知ったことではなかった。

 カララ様ってひどすぎる…しかしこの反応は自然ではあろう。


  • 理想主義者の嫌らしさ

 今作のカララの態度は何よりも理想主義者の嫌な面を実感しやすいです。結局は自分の規範の中にある者しか救わない救おうとしない人間。視野内のものも救おうとしないよりは良いのでしょうが…その落差はあまりにも激しい。

2017年11月7日追記

 この一連の視聴日記は全面的にリライトしたいくらい今と見方・考え方のレベルが違っているのですが、このエピソードは特にその乖離が大きなものとなっています。

 ソロシップに進入したアバデデをカララが制止した事で救われたシェリルの発言は「恩を売りつけたつもりなのでしょうね?」です。「恩を売ったつもりなのでしょうね?」とは言葉選びが違います。こちらの方が格段に辛辣。だからビンタの応酬にもなる。


次回伝説巨神イデオン 第11話 「追撃・遺跡の星」 - 放課後は 第二螺旋階段で
前回伝説巨神イデオン 第9話 「燃える亜空間」 - 放課後は 第二螺旋階段で

*1:正しい音楽用語では何というのでしょうか?