(この記事は編集の都合により2018年上半期に執筆したものを2008年として登録しています)
なんとなく気が変わったので過去の連載記事の続きを書いています。前回から9年(!)もの時間が経っているため文体等は幾分違っているかとは思いますが、筆者としては現在の方がはるかに洗練されていると思うためお付き合い下さい。執筆速度は当時の数倍にも達しています。そのテストの要素も大きい再開です。
というわけで、伝説巨神イデオン視聴日記再スタート。
♪聞こえるか聞こえるだろう遙かな轟き~
エピソード一言ガイド
- 士官と兵の考え方の根本的違い、社会階層の違いと対立の描写を前面に打ち出している点が見どころ。
- 部下を顧みないバッフクランのダミド(声:田中祟 現:銀河万丈)が戦死した。
ストーリーガイド
イデオンを引き渡すフリからのだまし討ちでバッフクランを撃退し脱出した手段を選ばぬ主人公、コスモ。かれはVガンダムで言うなればハンガー状態、肩より上の部分だけで胴体部分を拘束する重機動メカと交戦する機転も持っている。
しかしながら、戦闘終了後のソロシップクルー会議において、自分は士官だという誇りを持つベス、第六文明人解析能力に秀でた言語学者としての自負があるシェリルたちは、コスモとカーシャらイデオン戦闘隊は命令系統一本化のために黙って指示に従うように示したため、コスモはそれに反発する。カーシャに至っては理論先行で何の結果も出せていないシェリルに対して若干見下しの感情すら見せる。
一方その頃バッフクランでは、戦傷から回復したダミドが再びハルル指揮下へと入る。この短期間に二人の士官が戦死したと告げられるが、ダミドは意気軒昂で「久々の出撃に血が沸き立つ思いであります」と答える。
そして彼の判断により対イデオン戦闘にはハーケン戦法(電気ワイヤーを打ち込み強力な電撃で制御システムを破壊・ワイヤーによる拘束)が有効であるとして、既存機にもそれを装備させる。これについて部下たちは戦闘のリスクが高まるため士気が大幅に低下するのだが、ダミドの「戦いでの活躍は家族たちの永遠の繁栄を意味する」という訓示により半ば強制的に動機付けさせられるのであった。
バッフクラン社会は家族を重んじるのだ。クラン(≒氏族)を人質に臨まぬ任務に挑まざるを得ない状況に追い込まれる様はまるで1980年のサラリーマン社会のようだろう。
こうしてバッフクランの奇襲、デスドライブ中のデスファイトが始まった。
対応するソロシップ側のコスモとカーシャは自分たちだけでどれだけ戦えるのかベスに見せつけようと二人語り合う。前線に出る兵であるこの二人と、ベスやシェリルら士官層との根本的な考え方の違いがかなりはっきり表現されているのは、今作のユニークな点の一つだ。
そして奇襲を仕掛けはしたものの士気の上がりきらないバッフクラン兵は、なかなかハーケン攻撃を仕掛けない。ダミドの「発射しないものは撃ち落とすぞ!」という脅迫じみた命令によりようやく作戦は実行に移される。彼らも納得できない任務に晒されるのは嫌なのである。
このハーケン攻撃は事実成功しイデオンを拘束することに成功するが、やはり実行者にとっては危険なものであった。接近した結果の格闘攻撃・ワイヤーの引きずりによる被撃墜と戦死者が相次いだ。捨て駒にされると分かっていても行動に出るしかない。それが家族のいる者の悲しさなのよね。
イデオン拘束に成功したダミド隊は重機動メカを使っての目突き・ダクト突きの攻撃でダメージを与える事に成功する。しかし、ダミド隊の成功もここまでだった。突如ゲージが上がりパワーアップしたイデオンに拘束も押し切られ、挙げ句の果てに味方の戦闘機に「盾になれ」と命じてまで身を守り、イデオンに振り飛ばされた僚機の重機動メカに激突して戦死してしまうのであった。捨て駒を多用するような指揮官の最期、まさに因果応報!
イデオンとソロシップ隊は勝利を得た。だがコスモたちは戦闘中に母船ソロシップを無視、チームプレイを放棄、独断で行動したため、ベスとシェリルの指揮官層に独房入りを命じられる。コスモは自分と同じ社会的階層にいるカーシャにも付き合って独房入りするように促し、カーシャもそれを受け入れる。
一連の戦いと対立が終わったあとにデスアウトした先は、類人猿の住む星だった。
細かめの要素
- この休止期間に80年代の作品をいくつも見て分かったのですが、富野由悠季はほとんどの作品において作画に恵まれないと言わざるを得ません。その年代のハイエンドクラスの絵を出せるチームとスケジュールを持つ事がほとんどないのです。
- バッフクラン軍の対イデオン攻撃法は「目を狙え!」と「ダクトなど細かい開口部に集中射撃を加えろ!」という歩兵対戦車戦闘のような地味ながらも現実的な嫌らしさがある攻撃です。
次回→未執筆
前回→伝説巨神イデオン 第15話 「イデオン奪回作戦」 - 放課後は 第二螺旋階段で