■ストーリー
戦闘力を失ったスクィードの周辺空域を哨戒飛行中、ウッソとジュンコは生身の敵兵を発見する。かれはウッソが射撃をためらっている間に白旗を上げようとするのだが、それより一瞬速くジュンコ機のビームライフルが命中する。本来情けをかけている余裕はないのが戦場なのだ。
この直後、単独行動に移ったウッソは待機中のモビルスーツ・アビゴルを発見する。これは第15話でゴッドワルドが操っていた機体である。そのため反射的に破壊できなかったウッソは、ゴッドワルドのワイヤーガンに不意を突かれ絡め取られる。
拳銃を突きつけられ何者か問われたウッソは遭難時に通じ合った「カサレリアのウッソ」であると告げる。成り行きで連邦軍のパイロットになったと弁解しても、今は対立する戦士同士であると考えるゴッドワルドは、分かっていないウッソを殺さず、情けをかけるように突き飛ばす。
「宇宙で戦う戦士の鉄則を教えてやる。それはな、目の前の生き残るチャンスを逃さないことだ。分かったら行け!」
アビゴルとVガンダムが共に起動。一騎打ちが始まった。だが、この会戦は両陣営に支援が駆けつけ一度中断される。
ウッソは母艦に帰還し、第二ラウンドはゴッドワルド隊によるアイネイアースへの狙撃から始まる。
「一度は生きるチャンスを与えたが、二度はない。ぼうずであろうが、この道を選んだ以上この定めを受け入れるのだな!」
ゴッドワルド隊は優勢であるのだが、ウッソの巧みな戦術により次第に戦力を失い追い詰められていく。
「正面が取れてしまった‥‥!あのゴッドワルドさんの‥‥!」
しかし完全に隙を突いても撃てないのがウッソの決意の弱さだった。
「どうした。この瞬間撃たなければ、死ぬのはお前の方だぞ」
一方のゴッドワルドは死の瀬戸際にまで追い込まれても教育的余裕を見せる。
この状況にアイネイアースの仲間たちが燃料タンクを投射し、爆発を利用して再び隙を突いたウッソは、ようやくアビゴルの撃破に成功する。
それでもゴッドワルドは諦めない。脱出ポッドで飛び出し、Vガンダムに取り付いての白兵強襲を仕掛ける。気づいたウッソは迷わずハッチを開けワイヤーガンで反撃する。
「やったな!小僧!」
宇宙に放り出される瞬間反射的に出た怒りのこもった言葉。これでウッソは一人の兵士として認められた。
■コメント
シリーズを通しても特に印象的なエピソードの一つだ。名台詞連発、いや台詞全てが名台詞になる状況が出来上がっている。
ゴッドワルドさんの「親父越え」は、ベテラン層の表現に特に力を入れているガンダムUCの1エピソードとして出てきても不思議ではないくらいだろう。少年は大人の背中を見て、大人は少年にかつての純だった自分を見るのである。そして、敵に生き残るチャンスを与えてしまうのがゴッドワルドの人としての善良さであり、弱さでもあるのだ。
最期の描写は、一度は完全に隙を突いても撃てず、二度目で機体を撃破するが白兵戦に続き、最終的にはワイヤーガンで撃ち、さらにそれを捨てて宇宙に放り出すという決意を幾重にも重ねたもので手触りを一層強調している。
生まれという運命であろうとも、子供であろうとも、Vガンダムという戦士の機械を操る道へと進んだウッソはその代償を支払わなければならないのだ。好敵手の命を奪う業を背負うか、あるいは自らの死か。
■断片
- この回の絵コンテは0083の監督である加瀬充子。
- 今作の中田譲治はファーストガンダムの永井一郎的ポジションだろうか。
- マーベットとジュンコのウッソ観関係でのちょっとした対立は伏線になるのだろうが煩雑になるため省略した。
- この連載シリーズははっきり言って文章が長すぎるため次回より冒頭に1行概要を掲載する。
次回→F91の遺産―機動戦士Vガンダム 第23話「ザンスカール潜入」 - 放課後ハ 螺旋階段デ
前回→ひたすらの突撃―機動戦士Vガンダム 第21話「戦略衛星を叩け」 - 放課後ハ 螺旋階段デ