言わずと知れたこの名作を今初めて観ました。
確かに素晴らしい。100点映画。
この「100点映画」というのは、映画のレビューを生業にしているといった可能な限り客観的な評価をしなければならない場合に最高得点をつける作品という意味合いです。本当によくできています。ただ、「自分自身にとって100点満点の面白さかどうか?」は別問題ですが・・・・・・
今までにこの作品以外で100点映画だと思ったのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」*1「ターミナル」等々。
人間の頭の中にある技と信念は奪えず、絶対力になる。それは強く美しい。いい話にだってなる。確かに良かった。面白かった。
けれど、本当に力が無い者は、力を分けてもらえない者は、一体どう生きるというのでしょうか。そこで引っかかりを感じてしまいました。
以下思考メモ
- 絶対的な時間では長い作品だけどそれを全く感じなかった。シナリオの密度が非常に高い。起こるイベントそれぞれが面白くて、同時に伏線にもなっているという作り。一瞬たりとも足を止めない。
- 伏線の巧さ。単なる小道具やくすぐりではなく全編を通した主題ともなりうる力。
- 「ちっぽけなロックハンマーで石を削る」ということがもつ意味。壁に文字を刻み、チェスのコマを刻み、最後は世界の壁をも刻む。
- 仮釈放不許可記念のハーモニカ、「フィガロの結婚」のレコード、そして充実した図書館で世界を知る自由。世界は閉じない絶対に!
- みんないい人になっちゃう明るさとその枠の外にある暗さ。それでも暗さは乗り越えられる。
- 何度か現れる唐突さがもたらす展開への期待。
- 突然囚人を傷つけるブルックス。
- 突然石の下に手紙があると言い出す主人公。今作の主人公がすることはその場では意味が分からないことばかり。そして後になって納得できる。伏線男。
- だからこの作品は先輩囚人レッドの視点で進む。
- 大検男関係のエピソードは全体的にちょっとできすぎですけど、この人のおかげでコメディリリーフが入って緊張をほぐすことができたり、所長への復讐の正当化や強化がされてキモチヨクなれる。
- ずっと暗い監獄で暮らしていたものだから、ラストの蒼い海の素晴らしさといったら!
*1:この作品は絶対にオリジナル邦題をつけるべきだったとおもう。