放課後は 第二螺旋階段で

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ドイツ最後の騎士 「ケーニッヒスティーガー重戦車 1942‐1945 オスプレイ世界の戦車イラストレイテッド 01」 トム・イェンツ ヒラリー・ドイル イラスト:ピーター・サースン 翻訳:高橋慶史

 World of Tanks で到来した私的戦車ブームを使って積読崩しです!その続きです!(ガルパン式語尾) 大戦型の戦車に関する本はこれでもうストックはこれで終わり。

 次は IS系の号を買おうかな?ジャンルを限れば洋書も結構読めると分かったのでゲームで愛用している M18ヘルキャット 号を読んでみようかな?このシリーズは薄いため、多数を集めて多角化すると楽しみが一段と深まる印象があります。

 というわけで、ケーニッヒスティーガーについて。

 第二次世界大戦最強戦車、アルデンヌのモンスターが生まれるまでの研究開発、性能テストをクリアし、そして前線に向かうまでの一通りが記録されています。

 大重量のこの車両も、設計そのものは新しい上に戦闘力的に優先順位が高かったためか、稼働率はIV号戦車とあまり変わらない59%程度と信頼性もおおむね十分。IV号戦車が62%、パンターはなぜかたったの48%。生産初期で信頼性向上前の車両でも重要な戦闘に投入された事、操縦手の経験のなさがネックになったようです。

 ただし補給は非常に乏しく輸送も難しいのか、新たに車両を受け取った事がある部隊は第506重戦車大隊、SS第501重戦車大隊、フェルトヘルンハレ重戦車大隊の3つのみで終わります。

箇条書きメモ

  • 重戦車大隊は軍直轄。
  • 砲塔の3桁ナンバーは 1桁目:1〜3の中隊番号 2桁目:1〜3の小隊番号 3桁目:1〜4の車両番号
  • ティーガーIの時にも出てきた「無線操縦重戦車大隊」が今度はティーガーIIも受け取っているが、部隊の詳細不明。無線操縦の指揮にそんな高戦闘力が必要なのか気になります。
  • シングル・ラジアスとダブル・ラジアスのトランスミッションの機構的違いと特質が未だによく分からず‥‥ダブルになってもまだ各ギア段ごとに2つしかない旋回半径で何故それでうまく道路を走れるのか不明。ティーガーIIは実用化型がダブル・ラジアスながら、ポルシェによる試作車がシングル・ラジアスを採用。故障の抑制を狙った。
    • シングルラジアスで大半径旋回:イン側の起動輪がステアリングクラッチにより減速
    • シングルラジアスで小半径旋回:イン側の起動輪にステアリングブレーキがかかりさらに減速
    • ダブルラジアスで大半径旋回:イン側の起動輪が大曲率半径用クラッチにより減速
    • ダブルラジアスで小半径旋回:イン側の起動輪が小曲率半径用クラッチにより減速
  • アメリカの戦車は信頼性が高いのではなく、社会のモータリゼーションが進んでいるので操縦手の平均練度が飛び抜けて高かっただけかもしれない?
  • 前後に長い砲塔は傾斜地での旋回を容易にするためのカウンターウェイトを兼ねたデザイン。内部には砲弾を搭載。現代戦車風。
  • 油圧式の砲塔の旋回速度はエンジン回転数が 2000rpm以上で360度回転に19秒。3000rpm で10秒以内。特に急ぐ射撃の際は操縦手にアクセル全開させた?
    • 油圧で砲塔を旋回し細かな照準は人力のハンドル式。この時代の砲手で高い命中率を発揮した人は今と異質な職人です。
  • この砲塔前面装甲でも 17ポンド砲+APDS では1100ヤード以内で貫通されたらしい‥‥他の砲では側面でさえ相当の至近距離でなければ不可能。
  • 訳者は「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」の著者。訳注に出てくる第503重戦車大隊が参加したハンガリーの和平交渉阻止を目標とする「パンツァーファウスト作戦」が気になります。SS第502重戦車大隊のたった2輛がペータースハーゲンでの難民脱出までの時間稼ぎのために破壊されるまで戦った戦闘は「パンツァーフロントbis」か、電撃プレイステーションについていた著名人製作のコンストラクションマップにあったような記憶が‥‥

2014年04月30日追記:「ダブルラジアス」の走向装置についての解説サイトを紹介

L 801 Zweiradienlenkgetriebe
http://www5d.biglobe.ne.jp/~vk4503/L801.htm