放課後は 第二螺旋階段で

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「ティーガーI重戦車 1942 - 1945 オスプレイ世界の戦車イラストレイテッド 6」 トム・イェンツ ヒラリー・ドイル (イラスト:ピーター・サースン) 翻訳:向井祐子 高橋慶史

 「ガールズ・アンド・パンツァー」効果で空前の戦車ブーム到来中です!(ガルパン式語尾)その空気に押されて長い間積んでいたこの本、冊子を崩したのであります。「ティーガーI」は黒森峰高校リーダー、西住まほさんの座乗車です。

 実際の第二次世界大戦において英雄的に活躍した本車の開発方針決定から全改修型、配備先まで網羅した47ページの資料的に便利な一冊であります。

 内容は直線的ではなく情報は時系列を補助線として押し込んだだけの感があるものなので感想はメモ式になります。

開発と発展

  • 転輪と転輪の間に転輪が挟まる複雑で特徴的な千鳥式転輪配置は特に考えなく採用されたのではなく、もともと二列で納める予定の所、接地圧の要件を満たすためにさらに外側に1列追加した外せないオプション装備のようなもの。鉄道輸送時に車幅を詰めるために細いキャタピラを使う際も最外列転輪は外れます。
  • 新兵器感覚が抜けて円熟期に入った印象を与える砲塔側面予備履帯ラックが使われるようになったのは、1943年3月から。
  • ティーガーのトレードマークという印象のある、上に開かないスライド式ハッチが採用されたのは1943年7月の391号車から。この改修では他にもハッチ周りのペリスコープ上に跳弾リング兼対空機関銃レールが設置されたりと、一気にスパルタンなデザインへと進化しました。
  • 1944年3月には、152mm榴弾砲の直撃に耐えるため砲塔上面装甲が25mmから40mmににまで増厚。これはIV号戦車初期の正面装甲さえ上回るものです。ソ連軍の女王たる砲兵の力にはすさまじいものがあります。
    • もしもティーガーの模型を作るなら、この型式を選びたいですね。
      • いつ頃の車両は各部の改良がどの段階にあるのか簡単に識別できる便利な一冊です。

火力

 徹甲弾を使用し演習時1000m以内なら100%の命中精度。2000mでも50%近くを維持します。

 さしものティーガーIでさえ、大戦後期は装甲厚も貫通力もそれほど突出した印象は与えないものになっていくのですが、それでも火力プラットホームとして有力で確実性と安定性に優れるのが特徴です。

 搭載弾薬は92発とたっぷり。

 ほか 1シュトルヒ = 1ミル であると理解し「現代語化」

生産と配備と運用メモ

 以下の部隊がティーガーIを受け取りました。そう多くはない数です。後日、有名人・有名事件リストを少しずつ充実させます。

  • 陸軍第501重戦車大隊

 チュニジアロンメルのための部隊。

  • 陸軍第502重戦車大隊

 レニングラード方面。宮崎駿のマンガで有名なオットー・カリウスはこの部隊。

  • 陸軍第503重戦車大隊

 クルスク・ノルマンディ。ロンメルのための部隊。

  • 陸軍第504重戦車大隊

 チュニジアシチリア駆逐艦との艦砲射撃戦で有名。

  • 陸軍第505重戦車大隊

 クルスク。

  • 陸軍第506重戦車大隊

 東部戦線・南方軍集団。

  • 陸軍第507重戦車大隊

 東部戦線

  • 陸軍第508重戦車大隊

 イタリア・アンツィオ。艦砲射撃により撃退された。

  • 陸軍第509重戦車大隊

 東部戦線。

  • 陸軍第510重戦車大隊

 東部戦線。

  • 第301無線操縦(FKL)重戦車中隊

 アルデンヌ。BIV重装薬運搬車なる兵器の操縦用にティーガーIを使用。

  • 第316無線操縦(FKL)重戦車中隊

 ノルマンディ。ティーガーIIも受領。戦車教導師団の隷下で戦闘に参加。

    • これら無線操縦戦車大隊が多数の重戦車を受け取っていて、それをいかにして運用していたのか気になっています。
  • グロースドイチュラント戦車連隊第13中隊

 東部・クルスク。
 グロースドイチュラントはSS系ではなく国防軍系の組織らしい。

  • フンメル重戦車中隊

 アルンヘム。第500補充訓練大隊から緊急編成。「マーケット・ガーデン作戦」を阻止。その後は第506重戦車大隊に編入

  • クンマースドルフ戦車大隊

 ミュンヘベルク戦車師団に合流した。この師団が何なのか不明。

 アンツィオの連合国軍橋頭堡攻撃に差し向けられたたった8両のティーガー

  • SS重戦車中隊(第1、2、3戦車連隊内に各個存在)

 東部。マンシュタインの下で戦った。

  • SS第101重戦車大隊

 真打ち登場!LSSAHこと第一SS装甲師団 ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラー の隷下の部隊です。東部・イタリア・ノルマンディと火消し的に忙しく行動。

 日本が購入したものの情勢上持ち出し困難で輸出作業が止まってしまったティーガーIは、最終的にはこの部隊が受け取りました。

 有名な所属者といえば、ミハエル・ヴィットマン

  • SS第102重戦車大隊

 東部、ノルマンディ。SS第3戦車連隊トーテンコップフと協力して戦うために再編成された。SS第2戦車連隊ダス・ライヒの生き残りと未経験者2コ中隊で編成された寄せ集め精強部隊。

  • SS第103重戦車大隊

 ユーゴ、東部。もとSS第11戦車連隊第II大隊。ティーガーを受け取り訓練の後、車両は第301無線操縦(FKL)重戦車中隊に引き渡された。第103大隊はティーガーIIに更新した。この辺りは編成と崩壊の回転が早すぎて少々理解しがたい点がある。

 1944年に3両+程度のティーガーIIを与えられていたらしい。たったそれだけで何ができるというのか‥‥!?