放課後は 第二螺旋階段で

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「機動戦士ガンダム 5」

 「ファーストガンダム」は一話ごとでも完結した面白さを持っていて、それを「積み重ねる」構成なのでレビューを書くとしたら全話レビューになってしまいます。


 以前「テクノライズ」のレビューを書いていましたが、これを書いた小中千昭氏の書いた以前の作品「serial experiments lain*1は一つのテーマが13の話に「分割して」描かれていて全てが繋ぎ合わされた後に意図が分かってくる構成で、「テクノライズ」もそれに似た構成だったので複数話をまとめてのレビューが書けたのです。


 そして、「ファーストガンダム」が持っている多面性は、人間の一人や二人が出せる物語製造能力を越えているということは、見ていて何となく分かります。。

http://d.hatena.ne.jp/enternovel/20050628/p1

第16話「セイラ出撃」

 砂漠を行くホワイトベースは被弾で倉庫が破壊されたせいで塩不足に陥ってしまう。


 塩湖を探すために砂漠を捜索していると、敵モビルスーツ一機を探知。


 そしてセイラは兄であるシャアの消息を知るためにジオン兵と接触をとろうと独断で出撃。だが、経験が無いためその敵機と隠れていた仲間たちにに蹂躙されてしまう。
「シミュレーションで完全に覚えてるつもりなのに、Gがこんなに凄いなんて」



 度重なる実戦で熟練を積んで強くなったアムロガンキャノンでセイラ救出へ向かい、部下のうち一人を撃破、一人を殴打し捕虜にする。


 そして責任をとるため独房に入るセイラ。
 セイラはその直前に捕虜から「シャアはガルマを守りきれず失脚」したということを知り、生きていたと分かり喜ぶ。


 この話でちらりと登場する「マ・クベ」役の塩沢兼人や、「セイラ・マス」役の井上瑤ってもう亡くなっているんですね。そう思って見るとちょっとせつない。

第17話「アムロ脱走」

 ジオンのランバ・ラル隊は追加のザクを受領する。この砂漠での夜間屋外作業時にジオン兵がコートを着ているのが妙にカッコよく見える。


 新たな、だが質の悪いザクを受領するランバ・ラルは「今度の作戦はザビ家の個人的な恨みから出てはいる。しかしだ、この戦いで木馬を沈めて、ガルマ様の仇を討ってみろ、わしは二階級特進だ。わしの出世は部下達の生活の安定につながる」と語る。諦観。
大人です。


 前話で捕らえられた捕虜は本隊と連絡を取る為に逃亡。銃も撃たないホワイトベース内での静的な追いかけっこの後、艦の出口付近まで逃走し背負いジェットで脱出しようと瞬間、バズーカで壁もろとも動的にぶっとばされる。


 ホワイトベース隊はジオンの基地へ攻撃をかける。アムロはブライトからガンダムで出撃するように命令されるが、独断でガンタンクで出撃。
 そのことを後でブライトから叱責され、ガンダムから降ろそうとするブライトに反抗してアムロは「自分だけのガンダム」を盗んで逃亡してしまう。
ガキです。


対照的なシーンが多かったエピソード。

第18話「灼熱のアッザム・リーダー」

 逃亡したアムロフラウ・ボウは捜索する。
 廃墟の部屋の中に空き缶を見つけて、そこへ歩くフラウを壁の裏に隠れて狙うアムロのcamper*2っぷりは見事すぎです(笑



 その後、命令に従うのは嫌でもジオンと戦うのは嫌ではないアムロはジオンの採掘基地を発見攻撃をしかける。
 が、そこに太陽の方向からジオンの超兵器「アッザム」出現。これが登場してくるときの、突然の猛攻→太陽の輝きから姿が次第にあらわれるというシークエンスなんか好き。
 しかし、ザクより大幅に強力だったガンダムの撃破に失敗したアッザムに乗るキシリアは、機密を守るために味方の兵もろとも基地を自爆させる。


 そして、基地の残骸を捜索した結果、さっきまでの決死の戦いの結果が無数の鉱山のうちのたった一つを潰しただけだと分かり、アムロは怒り落胆する。



 あと、「いったいいつまでこんな事させるんだよ?」とホワイトベースガンダム捜索の結果が分かるまで待つカイが、リボルバーの蓮穴越しに会話する相手の顔を見るカットがなんか好き。

第19話「ランバ・ラル特攻!」

 流浪するアムロはライバルのランバラルと食堂(戦いではない日常)で会い、アムロへ大人っぷりを見せつける。対抗心も、警戒心も、何もかもがラルから褒められ、手の内で踊らされるかのようなアムロ
 ガンダムって「敵」と戦いではない日常で会うシーンが多いですね。味方と敵との関係性に厚みが出て好き。


 そしてその後、ホワイトベースへの攻撃をしかけるランバ・ラルのグフと戦うアムロ。両者のサーベルは操縦席をカスリ貫通穴を開け、外と繋がる。
 次の打ち込みでアムロはグフのサーベルをかわし、両腕を刎ねる。だがそれでもなお打ち込みの勢いを生かしてガンダムにタックルを入れるグフ。この接触の瞬間、ラルはコクピットの貫通穴からガンダムパイロットが食堂で会った子供アムロだと知る。「まさかな。時代が変わった様だな、坊やみたいなのがパイロットとはな」
 そしてラルは「見事だな。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな」の名セリフと共に爆発するグフから脱出する。
 この殺陣シーンは最高にカッコいいですよ!



 アムロの活躍でホワイトベースは守られた。しかしアムロは命令違反を重ねた上に逃亡をしたため独房に入れられる。「探しに行ったのはガンダムさえ戻ってくればと思ったからさ」「自分がいないと戦えないだなんて己惚れるな」と独房に入れられたアムロへ語るブライトやリュウたち。


 その言葉に泣き崩れるアムロ。そしてランバ・ラルの「見事だな。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな」というセリフを思い起こし、「僕が一番ガンダムをうまく使えるんだ。一番、一番うまく使えるんだ・・・」と悔しさで叫ぶ。
「僕は、あの人に勝ちたい・・・!」新たな対抗決意に燃えるアムロ


人気エピソードなだけあって、この巻で特に面白い!

総評

 毎回使い回しのガンダム合体訓練シーンが挟まるのですが、ビデオで連続してそれを見ると正直しんどい(笑


 アムロの負けず嫌いっぷり(≒成長意欲)は凄まじい。勝ちたい!強くなりたい!そして認められたい!という意気で泣けるほどの人間なのだから。なぜいつも「内向的」と言われるのか全然分からない。自己主張も強すぎるとさえ言えるくらいだと思います。


 「ファーストガンダム原理主義者」の人からものすごーく叩かれている「ガンダムSEED」は何がおかしいのか、見てみたくなったりもします。


 やや「面白さの限界効用」が出始めてきたので、次巻まで少し間を開けます。

*1:これはわたしの大のお気に入りの作品

*2:FPS系ゲームの用語。日本語で言うと「待ち伏せ野郎」