放課後は 第二螺旋階段で

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あしたのジョー 第5話 「あしたのために その1」

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 詐欺師ジョー拘置所に入れられ、肉親ではない丹下段平や子供達は面会が許されないのだった。

 ドヤ街の子供たちは、身元がしっかりしているお人好しの白木葉子を頼りに、何とか釈放してもらおうと働きかける。
 丹下段平は、ボロ家に遊びに来た出稼ぎ者の友人に実家から手紙が来ているという話を聞いて、ジョーに手紙を送りボクシングの通信教育をするというアイデアを思いつく。


 だがジョーは「あんちくしょうの手紙なんか読めるかい!」と手紙を破り捨ててしまうのだった。


 しばらくした後*1ジョーはムキになって破いた段平からの手紙を「暇で暇でしょうがないから」という理由で破片を集めて読めるように直す。


 その手紙には「あしたのために」から始まる文面でジャブの打ち方が書かれていた。

攻撃の突破口を開くため あるいは敵の出足を止めるため
左パンチをこきざみに打つこと


この際 ひじを左脇の下から離さぬ心構えで
やや内角を狙いえぐり込むように打つべし


正確なジャブ三発に続く右パンチは
その威力を三倍に増すものなり

 パンチに理屈は不要と思っていたジョーも、段平の手紙の通りにパンチを打ってみると、今までに何度も何度も打ったパンチ*2で一度も経験したことのない風を切る音に驚く。
 学校に行ったことがなく、人からものを教わってできるようになった経験の無いジョーは、ものを覚えるという感覚を喜ぶ。だがその直後に、段平の思惑に乗せられていると思い反発し練習を止めてしまうのだった。


 その後精神鑑定の先生と会い、出鱈目な回答をしたせいで鑑別所送りが確定する。
 当のジョーはそのこと重さを全く感じず気楽な様子。


 肉親もいなければ学校にも行ったことがないって一体何者?

 段平に対して「無視」や「踏み台」に近い態度をとっていたジョーも、今回からは「対立」という同じ高さでの反応をはじめる。

  • 俯瞰を使っていいシーン

 映像業界では原則的に「俯瞰」と「天井が見えるアオリ」が禁止らしいけれど、獄中の狭さを表現するのには「俯瞰」が向いていると思う。

  • 任侠映画を観た男達は肩で風を切りながら映画館を出ていったという

 自分もジョーのようにジャブを打ってみましたよ!
 打ち方を調べてなるべくその通りにやってみると、「振りかぶり」の動作が殆ど無いので出が非常に速く、相手があらかじめガードを固めていなければ必中と思えるくらいのスピードです。これで相手はガードするしかなくなる、というわけなのでしょうね。
 そして打った側は瞬時にガードの体勢に戻れる。
 攻勢防御な動作。
 でもぼくはパンチの「重さ」が限りなく0に近いので、もろに当てても殆どダメージを与えられずそのまま突っ切られそうw

    • ボクシングを自習してみる?

http://www.sportsclick.jp/boxing/backnumber.html
 このページは非常に理論的で納得できてためになる。
 自習では、自分で気づけない変なところが残るかもしれないけれど・・・・・・


1巻収録分1〜5話の総評

 ジョーが何かをして少年院に入るというのは知っていましたが、ここまで手の込んだ悪党で感情移入を拒むようなキャラクターだとは思いませんでした。
 だからこそ、丹下段平の一途さが一段と引き立ちます。


 しかし力石徹が出るまでながいなー。
 「ゼーガペイン」くらい伏線が目立って期待を高める構成でも「6話まで我慢」といわれる今の世の中では、「あしたのジョー」のようなつくりはもうムリでしょうね。
 5話まで全部「準備のための準備」に近い内容。ソ連映画を眠らずに見てしまう自分は展開が遅いと感じませんでしたが、そんな人はもう少数派とみていいでしょう。


 独特さで有名な出崎統の演出は、序盤だからか努力や訓練で発想可能なものが中心という印象です。
 とはいえ、ここでいう「ボコボコ」は本当にボコボコで、顔の形が変形してそれが強い実線で描かれるほどの殴打なので、それは今あまりない表現だと思います。


 展開の発端に「なりゆき」が多くても、解決部が自然なら意外なほど「なりゆき」に気がつけないということも分かってきました。

  • なりゆきで事件発生→そのキャラらしく解決

 これは自然な展開で見ていて楽しい。なりゆきから始まっているのも気にならない。

  • 論理的に整然と事件発生→理詰めで解決

 これはゲーム的な作品か、理詰めキャラという「限定的な状況」でのみ有効。(有効なのは「限定的状況」であって万能性は無いとはっきり知っておかなければならない)

*1:雨が降り始めることで時間経過を表現

*2:喧嘩の回想を背景絵にして表現