放課後は 第二螺旋階段で

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巨船 ネス・サブリン

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 この映画は1960年頃の三菱造船・長崎造船所*1が英国企業の発注した大型タンカーを建造する様を記録した作品である。
 なお、今作は当時、文部大臣賞受賞、キネマ旬宝短編映画ベストテン第三位を受賞している。
 作中製造されているタンカーは排水量9万t、全長254m、幅37m。機関は蒸気タービンである。

 カメラのセンスに関しては非常に素晴らしいものがあり、画面は広角レンズによる遠近の視差を活かして造船所の巨大さを引き立てるように組み立てられている。船一隻ほどの高さがあるクレーンの可動域をフルに活用してのものであろう。人間描写に関しても、進水する船を見るためにラッタルの上に鈴なりになる人々の所作など本当に何気ない状況をしっかりと拾い、語らずして描写している。造船所をこれ以上にうまく描いた作品は世界的にも無いという域である。

 高画質化なったハイスピードカメラによる船型試験と波浪は、水のぬるりとした質感が独特で単体の映像としても印象的だ。

 進水直前の「船台外し」は船の下に人が潜って支えをハンマーで解体する神事のような雰囲気さえある作業なのだが、震度1の揺れでも起ころうものなら人の上に船が落下しそうで見るからに恐ろしく、他に方法はなかったのか、現代ではどのような手法がとられているのか気になる状況であった。


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