放課後は 第二螺旋階段で

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「大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル」 森博嗣

大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)
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自然に考える。素直に考える。

 三重大学勤務後、名古屋大学に勤めてつつ小説を書いていた*1ベストセラー作家、森博嗣によるQ&A形式の大学と教育論本。

 内容は各所で「予想通り」と言われているものだけど、それは筆者のファンにとっての話なので、そうでない人向けに簡単に書いてみる。

Q.学力低下についてどう思いますか?

A.学力の定義によります。
 配達の仕事をする際に、100m走をどれだけ速く走れるかよりも自動車を運転するための普通免許を持っていることのほうが重視されるように、学問も機械に任せられる単純計算や暗記能力ではなく「発想力」が重視されたほうが良く、単純計算能力等の低下を問題にする必要は無いのでは?
 「発想力」とは、問題を解く能力ではなく、問題を見つけ出し作る能力です。
 しかし、問題を解く能力が高い人ほど発想力も高いという傾向もあるでしょう。

Q.これからの大学はどうするべきか?

A.大学とは学問は楽しいということを学生がいつでも知ることができる場所です。職業訓練校ではありません。
 学問は楽しいということを知るのは非常に豊かなことなので、それだけで十分価値があります。
 そもそも、衰退してはいけないという考え自体不要です。


 ニュアンスは違いますが、だいたいこういう調子で、「物事の再定義」が思考の基本。
 これらに加えて、予算獲得や学会や論文書きや授業など大学教員の生活についてのQ&A。


 巻末にはファンサービス的な大学勤務の思い出エッセイつき。


 この著者が各所で書いている思想はどれも大抵正論なので、感想はいつも「全くもってその通りですね。」という他無い。

*1:最近退官したそうです