放課後は 第二螺旋階段で

筆者の気の向くままに書き連ねアーカイブするクラシックスタイルのblog。カテゴリタグによる分類には力を入れております。ネタバレへの配慮等は基本的にありません。「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」演出と映像技術の感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]
 ヘッダのネタバレ注意色を目立つように変えたので、ヱヴァ関係のエントリを畳むのを何となくやめました。以前の分も展開。

エヴァンゲリオンというマシンと殺陣

 『機動戦士ガンダム』のモビルスーツというマシン同士のサーベル戦は、手足を斬り飛ばせることで殺陣の表現幅を広げつつも血も出なければ痛みも無いので、補給物資を受け取るドラマさえ挟めばまた五体満足で再戦できるところでさらにドラマの幅を広げていて画期的でした。

 『新世紀エヴァンゲリオン』になると、マシンと乗り手のキャラクターイメージの統一と同一化が進められ、その上で修復はできるけれど血も出れば痛いという要素が殺陣とドラマの幅を広げています。


 ヘタレと言われやすい碇シンジですが、「ちょっと来て」で呼び出されたかと思ったらいきなり頭に五寸釘叩き込まれて意識不明になって入院するような目に遭ったら、まともな神経の人なら嫌になります。
 その上でさらに敵を倒し、人を殺し、親友を自らの手で殺し、何もかもを殺し尽くして痛みの極地を体験させ、まだやれと言ってくるのがエヴァというマシンの恐さです。


 旧シリーズ当時はあまりにも激しいバイオレンス描写に物凄く興奮していたので、分析的に見る余裕が全くありませんでした。

  • この項は以下のエントリの影響下にあります

「ロボットチャンバラ」としてのガンダム<ビームサーベル戦闘論>

人造人間エヴァ

 旧シリーズでは新劇場版ほど大々的に出なかった要素と思いますが、手にダメージを受けて拘束具(この言葉は新劇場版に出たかな?)が破壊されたとき、爪がついた生の人の手が出てくる描写は適度にグロテスクで、巨大人間色を一段と強めています。

運動したくなるエヴァ

 周囲を破壊する勢いでダッシュする初号機…
 ハードル走のように高圧電線を跳び越える零号機の伸びやかさ…
 ベッドから起きあがるアスカのバレエダンサーのような柔らかさ…


 アニメの人の真似をしちゃいたくなるくらいにいい動き。

アイレベルが下がった?

 『序』の第六使徒(通称ラミエル)戦のような俯瞰・エヴァ高度目線が大幅減少。
 アオリ・人間目線を基本とする。
 対落下使徒戦ではこの効果が特によく出ていて、零号機の伸びやな跳び、ただ走るだけの初号機が巻き起こす大破壊(特撮的に軽く吹っ飛ぶクルマ!)と音速に達するほどの加速、その時コクピットから見える世界の高さと広さが快感。

弾丸の軌道がリアル

 曳光弾が飛んでいくにつれて段々と見かけ上の速さが減っていく(遠近法の関係で角速度が減っていく)のを再現しているのは、さすが第二次世界大戦オタの映画。
 参号機が通常兵器で撃たれ続けるシーンが分かりやすい。
 擬音にするとビュン…ドーン!と間がある動き方。

 現実の射撃だとこんな感じ。

 飛びきったように見えてから着弾するまで間がある。

全体的に暗い

 暗くて細かいところがわからない。許容範囲内だけれど…

  • もっと見たい方はモデルで

 メカなデザインの仮設五号機は特にじっくり見たい機体。トロリーバスみたいなパンタグラフで電気をもらっているところはかなり特徴的なのに、パンフレットの設定資料でやっと気がつきました。
 リボルテック原型師はパトラクシェ・ミラージュやナイト・オブ・ゴールドやワールドタンクミュージアムで有名な谷明。

2D貼り込みが苦手

 日常シーンのテクスチャは解像度が高すぎて、余計なところにまでピントが合っている感じで疲れます。
 でもディスプレイの描写は高解像度でも平気という感性の切り替わり方は自分でも何故なのかわからない。
 現実のコンピュータディスプレイは空気アンチエイリアスがかからないバキバキの表示がふつうだから?

3DCGじゃない3DCG

 3Dで出した絵をそのまま普通に描画せずに何らかの理論に基づいてゆがめてる?少し嘘ついた絵を出してる…?
 3DCGのうち相当部分が『マクロスF』と同じオレンジ社で、そこはメカを描くときに「解釈表現(格好良く見える嘘)」を入れているというのを以前本で見た記憶があるけれど。

火と火を合わせると炎になる3DCG

 対落下使徒戦では、第三新東京市の構造物だけでなくエヴァまで3D化したことにより、従来では不可能だったと思われる両者が密接にからむアクションが可能になっています。

 ここを担当したといわれる樋口真嗣は監督映画の評判が全然良くないので何故多数の機会が与えられているのか不思議に思っていましたが、特技監督としては乗りこなせる監督が日本にほとんどいないくらい高い能力を持っているから監督までしていると勝手に考えてしまうほどの凄まじさ。

フォント変えた?

 極太明朝体のデザインが昔と若干違う気がする。
 マティスEBというらしいけど、モデルチェンジしてたり?デジタル化で印象が変わっただけ?
http://www.fontworks.co.jp/typography/sample/matisse/eb

デジタル透過光?

 トップをねらえ2!のOPで字が書くのに使われていた表現が、使徒形象崩壊後の血の雨で虹がかかる場面や、エンドロールほぼ全部(やりすぎ!笑)等で使われていたのですが何と呼ぶのが一般的なのでしょうか。
 フルデジタルの今ならふつうに「透過光」「T光」?
 アナログ透過光よりもはるかに透明度が高くキメが細かく複雑な動きが可能で、フチの色がプリズム分光しているのが印象的。
 クロスフィルタ十字T光との組み合わせで更に栄えます。

  • 自分が勝手に「デジタル透過光」と思ってる表現だけで作るカット例:「トップをねらえ2!」OPタイトル文字(0:20~0:33)(特に0:21)


 撮影オタは作画オタより遥かに少ないので調査を進めにくい…

  • 旧作でもプリズム分光していた光

 使徒がビームを撃つ場面で虹色の閃光が出ていた上、ほんの少しだけ移動していました。
 アナログでも作れるんだ…
 でも何となくエッジが立った荒い感じ(原理が上手く掴めず?)

  • プリズム光の名前は…

 「サーキュラーレインボー」という呼び方が一般に通じるようです。

撮影オタ入門

 鶴巻和哉監督作は撮影の使い方が上手い。いま撮影の経験値が最も高い監督ではないかと思います。もっぱらデジタルで経験を積んでいるから?
 神撮影!(?)
 『序』の全記録全集でインタビューに答えているT2Studio社の仕事が気になり始めました。