放課後は 第二螺旋階段で

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「Avalon 灰色の貴婦人」 押井守

Avalon 灰色の貴婦人 (MF文庫J)
Amazon.co.jp: Avalon 灰色の貴婦人 (MF文庫J)

架空の世界における達成が空しいなら現実の世界におけるそれも同様だ。デジタルデータに保存された永遠が有限であるように、現実もまた個人の生によって限定された世界でしかないのだから。


 荒廃した近未来世界、人々は非合法の仮想戦闘ゲーム「アヴァロン」に入りびたっていた。この「アヴァロン」には幻の最高クラスのフィールドが存在するという噂があり、それを探す者たちからは廃人が続出していた。主人公はこのクラスの謎を探る・・・という具合のあらすじの映画を監督自らノベライズしたもの。

  • 生き生きとした戦場、貧困極まる実生活、それぞれが細かな質感描写のしつこい積み上げで描かれている。これは好き。
  • 映像作品なら完全に同じ容貌の人物が何度も現れるというのは印象的かもしれないけれど、小説で同じ風貌描写を繰り返すとクドイだけかも。
  • 5分の4くらいが導入部という作りで、何となくもったいない。どんどん読み進めていって、「何が出る?」という期待が最高になったところで終わり。
  • 「アヴァロン」はMMORPG的世界観の上に作られた銃撃戦ゲームなのですが、押井守は銃撃戦オンリーなオンラインFPSに興味がないのか、単に知らないのか、どちらなのか気になってしまう。

 映画の「アヴァロン」は深夜にテレビでやってたのを見たことがあり、かなり面白かったのですが、「深夜テレビ映画」というシチュエーションじゃなかったら寝てたかも。そういう映画。
 共産圏好きなので、たぶん本当のポーランドよりポーランドらしい映像は楽しかったけれど、話は印象薄かった。。。