放課後は 第二螺旋階段で

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「三陸海岸大津波」 吉村昭

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

海は、人々に多くの恵みをあたえてくれると同時に、人々の生命をおびやかす過酷な試練をも課す。海は大自然の常として、人間を豊かにする反面、容赦なく死をも強いる。

 本書は、海と共に生きる土地である三陸明治29年昭和8年昭和35年に襲った3つの津波の記録である。

 2011年に生きている私は東日本大震災にともなう津波のHD高画質映像を多数見ていたため、簡潔な文体から浮かぶ景色は今までになく緻密なものとなりました。著者の吉村昭の中に浮かんでいたものよりも正確性は高いものになっていたのではないかと思うほどです。
 人類史上最も映像記録が豊富な災害の一つなのは間違いないでしょう。

 古来より繰り返し津波に襲われている三陸地方でさえ、津波津波の間が人の一生に対して長すぎるせいか「今津波が来るはずがない」という正常性バイアスによる逃げ遅れが非常に多いという全知になれない限界、そして現代型気象庁の警報システムがそれを打ち破り多数の人を救っていることを強く意識しました。

 情報×速さ=結果!

細部メモ

  • 2011年の津波が5分にわたる地震で生まれたように「長い揺れ」が特に強力な津波を生むということは昭和8年の段階で経験則的に知られていた。
  • 明治29年津波の直前に、沖合からのドンドンという大砲のような音、閃光、異常な大漁などが観測された。日露戦争へと向かう緊張の高まりからロシア艦の砲撃とも思われた。
  • あまりにも簡潔な文体で、昔好きで読んでいた作家があの吉村昭だったということに10年以上経ってようやく気がついた。


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