イルクートとヤコブレフそしてスホーイ・スーパージェットで近年民間機の経験を積んでいるスホーイの協力により作られた新型旅客機 イルークト MS-21 の公開式典が行われた。
MS-21はボーイング737やエアバスA320と競合する規模の小型旅客機。VaRTM工法とよばれる新しい手法を採用することにより主翼を含む多数の部位が炭素繊維複合材(CFRP)で作られ軽量化されているのが特徴。
VaRTM工法(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)は高温高圧環境を作るオートクレーブによる硬化処理を行わず、カーボンの生地を真空パック状の機材により圧縮成型、そのまま樹脂を流し込む事で大気圧1気圧を利用し、低コストでCFRPの構造材を製造する事ができる。
また、MS-21はオープンアーキテクチャを採用することにより世界のどこでも整備や修理が行えるのが特徴である。
VaRTM工法に関する専門家の解説
JAXA|永尾陽典 人に優しい旅客機を目指して
http://www.jaxa.jp/article/interview/vol30/p2_j.html
三菱重工技報 vol46 2008 MRJ尾翼桁間構造適用に向けたA-VaRTM技術開発
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/454/454002.pdf
この報道に関する私感
VaRTM工法は品質の安定性に何となく不安を感じます。ロシアTVの映像ではカーボン生地の切り出しなどあらゆる工程が手作りのようでした。とはいえオートクレーブを使った通常の工法に関しても不良品検査法を知っている訳ではないので正確性はないコメントとなりますが‥‥。
オープンアーキテクチャに関しては「開かれた建築を採用」といった翻訳がなされており、ロシア語でもそう表す事が印象的でした。
(「今日のロシアTV」は、 NHK-BS1 ワールドニュース で放送されたロシア国営放送ニュースの中でも特に興味深かったものを紹介します。科学技術・技術史・軍事・近現代史関係が中心になると思われます。予定更新頻度などは特にありません)