迷宮百年の睡魔―LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS―
「女王の百年密室」の続編で「百年シリーズ三部作(予定)」のうちの第二作。この本は絶対に前作を読んでから読んだほうが良いです。というよりも、読んでいないと登場人物の重みが違いすぎて話の意図が分からなくなると思います。
犯人捜しミステリィとしては前作で「百年シリーズ世界」のルールが分かったので、もの凄く驚いたりはしなかったけれど、これは慣れてしまっただけ?前作の最後のほうに出てきた思想をさらに大幅に拡張した先にあるのが今作の世界。
自我の在処、人間を個体と区切る際の定義、人間と人間ではない高度知性体の境界がテーマかな?
解説は人気作家の綿矢りさが書いていて、その文章は天真爛漫というのか、自己への疑問が少ないタイプだという印象を受けるもので、読んでいてルサンチマンのような感情が出てきてしまったり。躰への諦めを持って生きる者の気持ちなど分かりはしないだろう、君は!と。