大都会東京に背を向けて、ドヤ街に流れ者ジョーがやってきた。
先住民の子供たちは悪戯でゴミバケツを投げつけるが、ジョーはそれを超反射で蹴り返すのだった。
一方そのころ、丹下段平は居酒屋で酒浸りの日々を送っていた。だが、丹下段平にはもう酒代も残っていなかった。
居酒屋から叩き出された段平はジョーに絡み金を無心するが、当然のように蹴倒される。「ふざけんなよおっつぁん!」「そんなに酔っぱらって喧嘩ができると思ってんのかよ」
ジョーに一度はダウンさせられたおっつあんは再び立ち上がり、今度はジョーのパンチを見事に受け止める。
そして「お前なかなかいいバネしてんな」「俺と一緒に組まねえか。俺と一緒にボクシングやらねえか」と唐突な提案を始める。
そのさまを見たドヤ街の子供達は「拳キチがまた始まったぜ」と笑うのだった。
その後*1、ヤクザ3人に絡まれている子供を見つけたジョーは、たちまちのうちにヤクザ全員をボコボコにぶちのめす。
ジョーの一方的な勝ちに終わった喧嘩を隠れて見ていた丹下団平は、「おおこの強烈な殺人パンチだ!これだ!とうとう見つけたぞ!」と再び驚喜する。
「間違いねえ!あいつこそ俺が長年探し求めていた奴だ!ジョーか。矢吹丈か!」
ちなみにヤクザに絡まれていた子供は、おでん盗だったのでした(笑)
夜になっても行き場が無いジョーに、団平は一張羅の上着を与える。
「俺の真心を受け入れてくれるはずだ」
だがジョーは「酒を呑んでいる奴は嫌いだ」としか答えない。
夜になりしばらくして、昼のヤクザと仲間達がジョーへ復讐をしにやってくる。相手が増えてもジョーは再びヤクザをボコボコにぶちのめす。
素手では敵わない相手だと思い刃物を取り出したヤクザに対しても、ジョーは「へっ!そうこなくっちゃなあ」と余裕の態度。
しかしそれを見ていた段平は「刃物はいけねえ」といい、ジョーに不意打ちパンチを浴びせてわざとダウンさせ覆い被さり「俺の目の黒いうちには指一本触れさせねえ!」と啖呵を切り、「一緒にボクシングをやるんだ!」「お前は俺の明日なんだ!明日のジョーなんだ!」と絶叫する。
そこまでされてもジョーは「だから何だっていうんだ!離せ!この!」としか答えないのだった。
この作品最初のシーンは「遠景の東京タワーを背にして歩く矢吹丈」
東京に住んだことが無い自分にとって、東京タワーは昭和日本社会繁栄の象徴で、それに背を向けドヤ街に向かうところから始まるシーンからは「まっとうな現代社会人としての人生を拒否する意志」を読みとる。
- 天才ジョー
始まって数分と経たないうちに超反射でゴミバケツを蹴り返すシーンが入っていて、そこでもう「ジョーには何か才能があるんだ!」って確信させられる。
- 謎ジョー
ドスを抜くのを見て「へっ!そうこなくっちゃなあ」って答えられる感覚は一体何?死にたいの?それとも余程自分に自信があるの?
どちらなのかはどうしても分からない。
- 葛藤がドラマを生むとはよく云う
シナリオの要約を書いたとき「だが誰々は」「しかし誰々は」と表現される部分には、「対立」や「葛藤」の要素が含まれていると思ってよさそうです。
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- 関連ページ
・弁証法的進行
http://www.green.dti.ne.jp/microkosmos/anime/hikawa_culture.html
コンフリクト(対立)がドラマを生む。
主人公(正)と対立するもの(反)のコンフリクトが、ある結果(合)を生み、それが次のストーリーを生む。長期シリーズはこの繰り返しとなるが、限度を超えると少年ジャンプ的展開に。
*1:ここの時間感覚がよく分からない。完全になりゆき?